「ヴァル研究所」社内見学ツアーレポート

一歩進んだ見える化・カンバン・カイゼン事例を見学してきました

「ヴァル研究所」社内見学ツアーレポート

こんにちは。リクルートライフスタイルのデータ基盤の運用をしている大長です。

今後、社内のアジャイル開発をより加速していけるように、カンバンなどアジャイルを用いて業務改善に力を入れていることで有名な「株式会社ヴァル研究所」(以下、ヴァル研究所)の社内見学ツアーに参加してきたので、その様子を共有させていただきます。

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「株式会社ヴァル研究所」とは

ヴァル研究所は、「駅すぱあと」などのサービスで有名な会社で、会社としても42年目の老舗企業になります。見える化・カンバン・カイゼンに力を入れていることで有名な会社で、「カイゼン・ジャーニー」の著者である新井さんも所属しています。

カイゼン事例の共有の場として社内見学ツアーを開催しており、今回、その進んだカンバン文化を参考にするため、8名で見学ツアーに参加してきました。

「ヴァル研究所の社内見学ツアー」とは

社内見学ツアーとは、ヴァル研究所のオフィスに訪問し、見える化・カンバン・カイゼンの活用事例をナマで見学させていただける人気のツアーです。

アジャイル界隈の先人への感謝 」 「 ソフトウェア業界への貢献と奉仕 」を目的に開催している大変有り難いツアーであり、見学ツアーの詳細については、登壇資料(AgileJapan2017【心】見える化・カイゼン・カンバンが全社に広がった ~口コミで広がった会社見学ツアーへの想い・ボクが仲間を信じれば会社は変わる~ - Speaker Deck)を確認してください。

見学ツアーの大まかな流れは、実際に事例を見ながら、各部署の担当者様に活用事例を説明してもらい、質疑応答に答えてもらうのがメインになります。見学ツアーの所要時間は、見学できる部署数など、その時の状況に応じて変動しますが、約1時間30分〜2時間程度になります。

「社内見学ツアー」の様子について

ヴァル研究所のロビーになります。事前に予約連絡しているので、電光掲示板で「熱烈歓迎」していただきました。嬉しかったです。 pic_02

見学ツアー開始後、壁一面を紙媒体の時刻表で埋め尽くされた部屋に通されます。電車・バスの運賃や時刻表は、デジタル化する義務はないらしく、地方路線は未だに紙媒体しかない場合もあるそうで、そのような場合は、紙媒体など様々なデータソースから丁寧に手入力し、デジタル化しているそうです。 (電車・バスの運賃や時刻表は、どこかで統合管理されているものかと、勝手に思っていた自分としては衝撃を受けました・・・。) pic_03

実際にオフィスに入ると、評判の通り、壁一面、隙間がないほど物理カンバンで埋め尽くされていて、カンバンの多さに圧倒されました。 pic_04

ここから、各部署を回り、運用、利用している担当者様に、実際のカンバン運用について説明していただきました。 pic_13

実際のカンバン活用、可視化事例について

それでは、見学ツアーで実際に拝見したカンバンの一部を紹介します。すべての部署の説明をしても長くなってしまうので、総務・人事部の事例に加え、特に面白いと思った事例のみを抜粋して記載します。

社内の写真撮影は、機密情報が含まれる可能性があるため、原則NGになりますので、カンバン内の付箋についてはマスクしています。(見学時の写真撮影は、被写体と撮影場所についてその場で許可をいただくことで撮影が可能でした)カンバンの運用方法や詳細が気になる方は、ヴァル研究所の登壇資料(全部門にカンバンが導入された10の理由と活用事例)を確認いただくか、実際にヴァル研究所の社内見学ツアーを申し込むことをおすすめします。

ヴァル研究所の総務・人事部について

ヴァル研究所の総務・人事部は、担当する業務内容が、新人教育から給与計算、ビルの管理まで多岐にわたり、担当する業務の幅が非常に広いそうです。担当する業務の幅が広いということは、それだけ、1つ1つの業務の専門性が高く、以前は、完全に業務と人が紐付いている状況が発生していました。周りの人が何をやっているのかがわからず、チームで助け合いができない状況に危機感を感じ、3〜4年前からカンバンを導入したとのことでした。

現在の総務・人事部のメンバー構成は、5名程度(その内、1名が認定スクラムマスター)でスクラムのチームを組んで、カイゼンを回しているそうです。総務・人事部のカンバン運用の詳細は、登壇資料(“総務も!!"アジャイルプラクティス!)を参考にしてください。

■ 事例:タスクカンバン

こちらが総務・人事部で実際に運用されているタスクカンバンになります。 pic_05

1週間を1スプリントとして、金曜日に必須タスク、やりたいタスクを洗い出し、毎朝、朝会でカンバンをみて、本日のタスクを決め、「TODAY」枠にタスクを移動。終わったら「DONE」に移動するという運用方法で運用しているそうです。相手の連絡待ち、チェック待ちなど他人の進捗に依存するタスクについては「Waiting」に移動し、実際に実施する業務とは区別できるように工夫していました。

このカンバンを導入したおかげで、各自の業務が可視化され、各自の忙しさ、誰が何をやっているかをチーム全員で把握できるようになり、チームとして助け合いができるようになったそうです。

■ 事例:イベントカレンダー

こちらが総務・人事部で実際に運用されているイベントカレンダーになります。 pic_06

カレンダーで締めが決まっているタスク(例:会計締め日)が貼られ、これにより、期限が決まっているイベントの進捗状況を可視化し、チーム内で助け合いができる状況を実現しています。

このカレンダーを導入したおかげで、期限が決まったタスクに対して、チーム全体で進捗状況が見える化ができるようになり、属人化が減少したそうです。

■ 事例:チームカンバン

こちらが総務・人事部で実際に運用されているチームカンバンになります。 pic_07

期のはじめに、今期のチームとしての目標を立て、毎週の振り返りで、1人1人が実施している業務がしっかりと目標に沿っているかを確認しているカンバンになります。

チームカンバンを導入した結果、チーム目標と日々の業務のつながり、重要性をメンバー全員が 共通認識 として持つことができるようになり、 意思疎通、説明が容易 になったそうです。

実際のカンバンの大きさを感じていただくために、弊社エンジニア 山田(@nii_yan) に横に立っていただきましたが、圧倒的な大きさでした。 pic_08

なぜこの大きさのカンバンを物理カンバン(アナログ)で実現しようと思ったのかという質問に対しては、デジタルにするとスクロールしなければいけないし、みんな見なくなるから、常に目に入る場所に置きたいからだそうです。日々の業務を淡々と熟していると、目的を見失いがちですが、ゴールを意識して業務を進めることで、終着点を見失わずに進めることができ、それをチームで確認し合うことで、一体感、同じ方向を向いたチームが形成できるので、非常に良いカンバンだと感じました。

■ 事例:VSM:バリュー・ストリーム・マッピング

こちらが総務・人事部で実際に運用されているVSMになります。VSMは業務プロセスに無駄がないかを分析し、無駄をなくす、改善するためのプロセスの流れを可視化するための手法です。総務・人事部では、毎年発生する期末の棚卸しフローを実際にVSMに書き出すことで、必要なタスクを明確にして、個々の業務の必要性の審議やフローの効率化を進めているそうです。 pic_09

■ 事例:残業カンバン

こちらがセールスプロモーション・広報チームで各自の残業時間を管理するために利用している残業カンバンになります。 pic_10

運用方法はシンプルで、毎日、帰宅する前に、本日の残業時間をカンバンに記載し、残業していたら「う○こ」を、速く帰ったら「お金」を書くという運用です。

残業カンバンによって、残業時間を見える化することで、各自の業務状況を可視化し、タスクの平準化に結びつけているそうです。残業が多いことを責めたいわけではなく、なぜ忙しいのかをしっかりと分析、振り返ることで、結果、何となくの残業が減り、残業時間が減少したとのことでした。ちなみになぜ「う○こ」なのかというと、みんな汚いのは嫌い。減らしたいという心理が働くからだそうです。

■ 事例:スキルマップ

こちらが開発チームで利用されているスキルマップになります。 pic_11

業務をすべて洗い出し、手順書、自動化の有無に加えて、対応可能なメンバーを明確にすることで、属人化している作業を可視化し、チーム全体で業務を回せるようにしているそうです。

スキルマップは、開発チームに限らず、見学させていただいたどの部署でも利用されており、個人がやりたいことができるように、チームで協力して、業務負荷を分散していきたいという考えが根付いて、改めて感心しました。

見学ツアーを終えて

今回の見学ツアーは、ヴァル研究所で運用されているカンバンの活用事例を実際に見て、体感することのできる非常に良い機会でした。特に、カンバンを運用してみて得た貴重なナレッジを実際に聞くことができるのは本当に素晴らしい機会で、タスクカンバンだけではなく、イベントカレンダーやVSM、スキルマップなど、様々な種類の可視化事例を見学することができ、業務を可視化する際の選択肢が広がり、非常に参考になりました。

デジタルにはデジタルの良さがありますが、アナログはアナログで、全体を俯瞰して見ることができ、チーム全員の視野に入ることで、チームとしての一体感が高まるのは非常にいいと思うので、弊社でも物理カンバンを増やしていきたいと思いました。

また、今回、可視化した結果に対して、ほとんどの部署の方が共通して、「隣の人が何をやっているかがわかるようになった」「コミュニケーションがしやすくなった」と言っているのを聞き、カンバンはあくまでも1つの方法であって、カイゼンの本質はチームビルディングだと強く感じました。

課題というのはチームの数だけ存在していて、メンバーの入れ替え1つで変化する不安定な存在であり、カイゼンに銀の弾丸はありません。むしろ、課題が発生した時に、チーム一丸となって、コミュニケーションを取りながら、試行錯誤し、柔軟に、自律的に行動できるチーム文化、風土を醸成することが何より大切だと思いました。

実際に、ヴァル研究所はチームごとに、利用しているカンバン、利用方法も全然違い、同じカンバンは1つもありませんでしたが、すべてのチームで共通して、チームメンバー全員が、自分たちの課題を主体的に捉え、楽しみながら、自発的にカイゼンをチームで進めている様子がうかがえました。

質疑応答で、新井さんに自発的にカイゼンが進む組織づくりに大切なことは何かを聞いたところ、以下の回答をいただき、各チームで実施しているカイゼンを考えると、非常に納得ができました。

  • 小さい成功体験を多くつくる
  • 文化の醸成が必要だと言い続ける
  • 長期的視点をもつ
  • チームをリード・並走・応援し続けること
  • 全社標準を目指さないこと

最後に

今回のツアーで見学させていただいた事例を参考に、今後、自分たちが抱える課題に対して、様々な方法を試し、試行錯誤を繰り返しながら、自分たちにあったカイゼンをチームで模索していきたいと思います。そして、カイゼンを通して、文化、風土を醸成することで、会社にとって最大の成果を残しつつも、チーム全員が気持ちよく働けるチームを、全員で作っていきたいと思います。

現在の会社、チーム、業務に何かしら課題を抱えていて、何かを変えたくてもやもやしている方は、是非、一度、ヴァル研究所の社内見学ツアーに申し込むを強くオススメします!

大長 拓磨

(データマネージメントグループ)

前職ではパブリッククラウドを運営していました。2018年に中途入社して、現在は、データ分析基盤の運営をしています。

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